2023年5月22日月曜日

土方巽 VS 中西夏之 みたいに?


 今回、久しぶりに引っ張り出した自分のノートみると、つくづく考えていることが今とほとんど変わっていないなぁーと苦笑する。

「水平な床から立ちあがる空間のなかに武闘はあるのだけど、踊り手が寝たり、立ったり、飛び跳ねたり、一挙一動するごとに、床面はひずんで、沈んだり盛りあがったりする。そう見える。その揺れ動く床面を徹底的な水平状態に保つこと、その点で踊り手と対立することが舞踏にかかわる自分の一つの意識だった」

そんな舞台美術、それまでにあったかしら?
オペラやバレエみたいに踊り手、役者、歌手を美しくみせる、ストーリーを盛り上げる舞台美術とは真逆です。

「絶対的に静かな水平状態を夢みるために、一方で、垂直ということをいつも頭に浮かべている」

画家だからですね。

「水平と垂直の対応、それは画家としての自分の意識のあり場所で、だから、舞踏にははじめから画家の立場で対立的に関係をもったわけです」(着陸と着水 1995年 カタログ展覧会後記より引用)

空間をかきまわす踊り手、そうはさせない中西さんの厳しい水平面。
そのバトルが舞踏を育て発展させていったのでしょう。
                 
今回の会場は中西さんのアトリエだったところでたくさんの絵画平面作品が制作されてきた空間です。すなわち、たくさんの垂直が生み出されてきたということで、その床には都度、絶対的な水平面も同時に発生していたということになります。
実験パフォーマンスではそのアトリエ空間にわたくしの立つ行為をもって垂直線を立てます。
ロックバランシングのピュアでスリリングな強い垂直線と一緒に、アトリエの床に、はたまた地球の真ん中に向かって垂線を突き刺します。

では音は? 竹田さんに聞きました。
「サラウンドのおもしろいところは場を包み込むのではなく離散的なものであること」
その場によって聴こえてくるものがちがう・ローカルな音・一点に集中させることなく、中心を中心でなくしてしまうようなもの・離散構造・・・
「そもそも音は個別的なもので聴く人によって音は変わる」

ふむふむ。
「立ちたさ」は身体の中とまわりの空間、環境に意識を向けたり感じたりしながら立っていくのですが、前回のBarnett Newman14点の連作に囲まれて立った時のように、360度、まわりのものを1本の線に集約していく行為とも言えるかもしれません。
となると、離散構造のものがそこにあるとそれが難しくなる!?!
バトルになりますね。 わくわくします。





2023年5月19日金曜日

画家・ 中西夏之の水平に立つ




 「これに寄付したから何かやったら?」竹田賢一さんからお声をかけていただきました。2021年頃だったか?

山梨県の大月市にある故・中西夏之さんのアトリエを土方巽・中西夏之メモリアル猿橋倉庫として保存、活用しようとクラウドファンディングが行われていたようです。知らなかった・・・
竹田さんはそれにご寄付をされ1回ここで公演をできる権利を得ていたようでした。
!?!?えっ!!何をやろうかしら、、、(嬉!)

https://motion-gallery.net/projects/butoh-soko/updates
https://saruhashi-soko.com

このブログで2012年に投稿していましたが、中西さんはわたくしがBarnett Newmanと並ぶ大変影響を受けた画家です。1995年に「着陸と着水」というインスタレーション(神奈川県立近代美術館)を見に行き、中西さんと舞踏とのかかわりを知ったことをきっかけに、わたくしのアートワークは絵画を尊敬しながら身体を使う活動になっていきました。
もう学生ではなかったその時期、母校の図書館、東京都現代美術館の図書室などで中西さんに関する資料を集めまくりました。購入できるものは取り寄せ、できないものはコピーをし、展覧会カタログにあった気になる文章はノートを取りながら自分なりに噛み砕いて理解しようとしていました。(古いものでは1960年代の個展やグループ展のもの)

ご本人との交流もあり、展覧会がある時は必ずDMとオープニングレセプションの招待状を送ってくださいました。展覧会会場で、人形町のカフェで、お電話で、お話は何度もしましたが、詳しくはまだあまり人には話たくない感じです。お話に難解さを感じたことはありません。
「あなたは身体を使ってやっていてすごいですね」と言われました。

「立ちたさ」公開!実験パフォーマンス

タイトル:画家 中西夏之の水平に立つ

日時:2023527日(土)OPEN14:00 SART15:00

会場:土方巽・中西夏之メモリアル猿橋倉庫 409-0622 山梨県大月市七保町下和田673-1


入場料:カンパ 1000円~ パフォーマンスは約1時間 *舞踏公演ではありません。

 

行為・立ちたさ伊宝田隆子

ロックバランシング石花石花ちとく 石花とかん

音楽竹田賢一

パフォーマンス兼盛雅幸



2022年11月21日月曜日

パフォーマンス後、さぁ報告展の準備です。

Washington, D.C. ナショナルギャラリーでのパフォーマンス、無事終わりました。

9月15日朝7時にギャラリースタッフさんやカメラマンと待ち合わせ、厳しいセキュリティと地下の大きなエレベーターを経て開館前の展示室へ。ピリリとした緊張もありましたが身体のコンディションがとにかく絶好調!あんなに早起きしたのに。

 Facebookの方へ少し投稿していましたが、報告は展覧会で!

2023年1月17日(火)〜28日(土)  12:00-19:00 

「立ちたさ_」展 2023   立ちたさ Barnett Newman と 対 峙  in Washington, D. C.

立ちたさ × The Stations of The Cross, Be II

ギャラリー:人形町ヴィジョンズ 日曜休み 入場無料

映像上映をメインに写真や資料の展示をします。

美術館とBarnett Newman Foundationへ報告と著作権使用の許諾のために、映像をまとめ、書類もたんまり作り提出。(ここまででも骨の折れる大変な作業!) 無事許諾のクレジットをいただきました。

あの展示室をまるごと持ってきたみたいに空間を体感していただけるよう、できるだけ大きく映像を映すべく調整しています。美術館資料室で見せていただいた資料も一部ピックアップし、まとめます。

どうぞ、お楽しみに☆

© 2022 Barnett Newman Foundation / ARS, NY / JASPAR, Tokyo E4980

2022年9月9日金曜日

いよいよ来週!9月12日に渡米します。

あとはパッケージのみ!というところまで準備はほぼできました。

コスチュームの調整、保険、スマホ撮影など、最終確認を残すのみ。

National Gallery へ行ったら図書館にも行って調べものをする予定ですと

スタッフEmilyさんに伝えると、”学芸室にもぜひ来て!”とのメッセージ。

Lucky !!!!  Barnett Newmanの資料を見せていただけそうです。

Newmanシリーズ前の2回、アムステルダムとバーゼルの時もそうでしたが、

美術館、図書館の人たちって、アーティストや勉強したい!という人に対してとても親切で協力的ですね。日本でも全く無名のわたくしに対してですら。。

いつも泣けます。

がんばらなくては!

それから、

今回の渡米や報告展の開催のための資金集めをしています。

マスクチェーンのお店をオープンして販売したり支援金を募ったりしています。

これまでチェーンをお買い上げ、お選別や寄付、送金をくださった方々、本当にありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。以下、お知らせです。

□ □ □  □ □ □   □ □ □

1、マスクチェーン, マスクホルダーを購入
  得意な手作業を活かしてマスクチェーンのショップをOpenしました。
  全て伊宝田自身が手作りしています!こちらよりご購入いただけます↓↓

2、支援金を送る
  展覧会リーフレットと掲示物にお名前を掲載させていただきます。
  送金方法はこちらまでご連絡をください → takako_p@d3.dion.ne.jp



 


2022年8月21日日曜日

9月に決行!ワシントンD.C.に行ってまいります。

決めました!

滞在スケジュールを決め、フライトチケットも取りました。細かい手続きもがんばっています。

今回、記録は3台のスマートフォン、スチールは美術館から紹介された現地のカメラマンさんにお願いしました。

コスチューム作りも進んでいます。undailygate 金田さんとやり取りを重ねてきました。色にこだわっています。そして何やらワシントンD.C.っぽい感じ!?ジャクリーン ケネディ?!楽しみです。

報告展も前回と同じ人形町Visionsで予定しています。そして、2023年にはワシントンD.C.で「立ちたさ_」展ができるかもしれません!

ようやく見えてきた2022-23の概要は以下です。(ここまで決まるのも大変でした^^;)詳細は追って投稿します。

それにしても今、ワシントンD.C.ってどんな感じなのだろうか、、、

パフォーマンス本番前の数日は美術館とその周辺に身を置いてしっかり体に染み込ませようと思っています。ドキドキ。

 ♢   ♢   ♢ ♢   ♢   ♢ ♢   ♢   ♢

      9月 2022年 National Gallery of Art  東館〈Washington D.C.

パフォーマンスとその記録 開館前の時間帯 

      1月17 - 28 2023年 立ちたさ展2023 in東京 〈Tokyo

       作品::立ちたさ vs The Station of the Cross, Be II in Washington D.C.

Gallery: 人形町visions 東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 https://visions.jp 

     2023年 立ちたさ展2023 inワシントンDC Washington D.C.     

      作品:対峙シリーズ過去2作品 

- 立ちたさvs Cathedra in Amsterdam (2015)

- 立ちたさvs Day Before One / White Fire IV in Basel2018)初公開

Gallery: TransformerNGAが紹介してくれたDC市内のギャラリー)

    1404 P Street, NW, Washington, DC 20005  transformerdc.org







2022年4月13日水曜日

スケッチ(Eng ) : 十字架の道行という空間に立つということ



渡航日程調整中にも思索は続いていまして、、ネタバレ?

お恥ずかしくはありますが、スケッチの一部をこのブログにあげてみようと思います。

これまでこのように少し頭の中でまとまるとNational GalleryのCooper氏に送っています。Barnett Newmanを知らない方には何が何やらわからないかと思いますが、私の頭の中のことと覚悟です。日付を見ると、、これは2000年春のスケッチです。

あの展示室の真ん中に立つということはこういう事になるのではないか、、

1枚目の前半はNewmanの言葉です。




2022年3月25日金曜日

National Gallery of Art とのやりとりについて

「立ちたさ」Barnett Newmanと対峙についてナショナルギャラリー、Modern and Contemporary Art 課とやりとりが始まったのは2019年。Head のキュレーターC氏はすぐに興味を持ってくださりポジティヴなお返事をくださいました。

さすがに国立美術館だから??か、美術館の中枢部には弁護士チームがあり、そこからの許可が必要とのことで、アシスタントキュレーターのEさんが掛け合ってくださり2020年の1月に正式な許可がおりました。

その後、パフォーマンスの内容についてや考察していることについてはHeadのC氏、実務的なことはアシスタントキュレーターさんにと、やりとりが続いています。C氏にスケッチを送ると”あなたの考えていることはいつも何でも全て面白いよ”と返してくださいます。実務的なことでも”わからないことがあったら何でも聞いてね!”と大変協力的でありがたいです。

いつぞや国際交流基金にサポートのことで相談した時には「海外の公の美術館と掛け合おうとすると、自国の同等の美術館を通してきてください、と言われる可能性もありますよ。」と言われました。ふーむ、そういうものか、、過去2度のパフォーマンス、AmsterdamでもBaselでもそれは言われなかったなぁ、、そして今回も。

パフォーマンス実施の日は、当初はNewman没後50年の2020年の命日7月4日、そこから10月、来年、春?秋?2022年、、、とずっと延期が続いております。許可証を書いてくださっているC氏は”全部コロナのせいだっ!”と何どもメールでおっしゃいます。^ ^ ;

本当に仕方がない、、

そのうちEさんが昨年9月から長期休暇に入られ(6月’22まで)代わりに今はKさんが動いてくださっています。ずいぶん長い休暇でわたくしが渡米してもEさんには会えないのか、、と残念に思っていたけれど、それがまた、'22年夏以降に延期になったことで復帰したEさんに会えちゃう! 嬉しい♪

それにしても、わたくしの周りではリフレッシュ休暇というのは聞いたことがあるけれど、それは2週間くらいじゃなかったかなぁ、、アメリカでは数年に1度、半年以上もの長〜い休暇を取ることは珍しくないそうですね、すごーい!

そしてそして、ここ日本国内ですら全く無名のアーティストである自分のことを尊重し、向き合ってくれる、アメリカってやはりすごい!